解剖学において広義の会陰は前方の
尿生殖三角
と後方の肛門三角に分けられる.2年間の痔瘻根治手術症例122例を
尿生殖三角
領域の痔瘻と肛門三角領域の痔瘻に分類,検討した.男性の陰嚢進展型痔瘻12例と,女性の浅会陰横筋経路痔瘻2例ならびに球海綿体筋経路痔瘻1例が,
尿生殖三角
領域の痔瘻に該当した.
尿生殖三角
領域の痔瘻は前方原発のII型深めもしくは浅外肛門括約筋レベルのIII型痔瘻であった.前方原発の痔瘻が
尿生殖三角
領域に進展するとは限らず,前方原発痔瘻のうち,
尿生殖三角
領域の痔瘻は1/3,肛門三角領域の痔瘻は2/3であった.ほとんどの痔瘻は肛門三角領域に分類されるため,従来の隅越分類による分類は臨床的には妥当である.
尿生殖三角
領域の痔瘻は少数ではあるが,隅越分類による記載のみでは不十分で,性差やその特徴的な解剖を念頭に置いた記載や手術を行う必要がある.
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