【はじめに】
ARDS は様々な原因によって生じる症候群である。ARDS の治療に関しては、呼吸管理を中心とする全身管理と薬物療法の2 つに分けられる。今回、人工呼吸管理下の状態で早期離床、急性期呼吸理学療法を施行した症例を経験することができたので以下に報告する。
【症例情報】
50 歳代男性。診断名は急性肺炎。既往歴に右下腿骨骨折、パニック障害。入院2 ヶ月前より咳嗽があり様子を見ていたが、食欲不振、倦怠感、動悸あり30 年前にパニック障害になったため心療内科を受診し肺炎のため当院紹介され緊急入院。職業は契約社員。身長158.0cm 体重50.00kg。
【説明と同意】
本症例に対して書面にて同意をいただき個人情報の取り扱いには十分配慮した。
【経過】
第5 病日ARDS と診断され気管内挿管し人工呼吸管理となった。エラスポール開始。鎮静不十分のためドルミカム中止としプロポフォールへ変更。第6 病日低用量ステロイドパルス療法100mg/day ×14day を開始。第14 病日気管切開施行。第
17 病日呼吸リハビリ開始。エラスポール終了。第18 病日ステロイドパルス療法終了。ウィーニング開始。徐々に人工呼吸器の設定を下げていく。第27 病日CPAP。第28 病日人工呼吸器離脱。第31 病日肺炎の悪化。第32 病日抗生物質の変更。
第38 病日抗生物質終了。吸引痰よりMRSA 検出。
【考察】
ARDS 治療ガイドライン2016 によると早期モビライゼーションとして浅い鎮静でコンタクトがとれれば人工呼吸管理中から座位、端坐位、車椅子乗車、立位、歩行と段階的にすすめていくことを推奨している。本症例においても浅い鎮静でコンタクトが可能であったため人工呼吸管理下であっても意思疎通可能でライン管理を行いつつ段階的に離床や呼吸理学療法を実施することが可能であったと考えられる。
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