2016 年 59 巻 5 号 p. 344-352
1型糖尿病患者において,カーボカウントは血糖管理に有用であるが,より効果的な指導方法の確立が望まれている.計量や暗記の必要性を軽減し指導を容易にする目的で,個人の手をひとつの尺度として糖質量を見積もる方法,手を活用したカーボカウントの有用性を検討した.食品交換表に準拠した糖尿病食210食における検討では,エネルギー設定に関わらず97.1 %の確率で,1型糖尿病患者の外来写真記録50食における検討では,92.0 %の確率で,±10 g以内で推算可能であった.また,後方視的検討では,手を活用したカーボカウント指導法にてカーボカウントが導入された患者群(12例)は,従来指導群(10例)に比べ,カーボカウント12ヶ月目のHbA1c,BMIは有意差を認めなかったが,低血糖頻度は有意に少なかった.手を活用したカーボカウントは妥当な糖質量の見積もりの継続に適した指導法として有用と考えられた.