並列心耳は右心耳および左心耳が大血管起始部の右側または左側に並列している状態で,まれな心耳の先天異常であり,多くは複雑心奇形を合併する.著者らは複雑心奇形に合併した2例の左並列心耳を経験したので報告した.
症例1は生後39日の女児で,心血管造影により大血管転位(TGV),心房中隔欠損(ASD),動脈管開存(PDA),右大動脈弓および肺高血圧と診断し,PDAの結紮術を行なったが当日死亡した.病理解剖により上記の他,左並列心耳の合併を認めた.
症例2は13ヵ月の女児で,右房および左房造影により左並列心耳を発見した,本例は他に,TGVを伴った三尖弁閉鎖,肺動脈狭窄,ASD,PDAおよび左上大静脈残遣を合併していた.Blalock-Taussig手術後,チアノーゼは軽減し退院した.
並列心耳はそれ自体は治療の対象とならないが,本奇形に対する知識は診断および手術手技の面から重要なことと思われる.
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