関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-168 大腿骨頚部骨折の転退院時早期杖歩行自立に関わる予測因子について
山賀恭輔三宮将一坂本篤則田村暁大戸塚裕亮上林和磨刀根章浩赤坂清和山本邦彦(MD)
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p. 168-

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抄録

【目的】大腿骨近位部骨折では3 週間以内にADL 能力が回復しない場合に病院転院が多いが早期に杖歩行が自立し自宅退院となる症例がある。今回、大腿骨近位部骨折の年齢、術後在院日数等の基本情報や術後5 日のSLR、基本動作、トランスファーや歩行介助量と歩行補助具を調査し転退院時の杖歩行自立に関わる予測因子を検討した。

【方法】2015 年2 月~2016 年1 月に入院した大腿骨近位部骨折95 例から保存療法、ハンソンピン、術後併存症状がある症例等を除外し、術後5 日に調査項目の全ての情報がある40 例を対象。調査項目は年齢、術後在院日数、術前待機日数、受傷機転、術前屋内外歩行能力、認知症の有無、骨折側、骨折部位(頚部または転子部)、手術内容、術後5 日のSLR 可不可、起き上がり、起立、立位、トランスファー、歩行の介助量と歩行補助具、荷重量とした。

起き上がり、起立、立位、トランスファーは監視以上を可、介助以下は不可、歩行は歩行器歩行監視以上で可、歩行器歩行介助や平行棒内歩行、歩行困難は不可とした。転退院時は病棟内歩行介助量、歩行補助具、荷重量を調査し杖歩行が修正自立以上で自立、監視以下は不可とした。退院時杖歩行自立(10 例)と不可(30 例)の2 群とし術後在院日数、術前待機期間、年齢のMann-Whitney U 検定を行った。ロジスティック回帰分析は目的変数を杖歩行自立・不可、説明変数はχ2 検定p<0.1 の項目、術後在院日数、術前待機期間、年齢は単回帰分析p<0.1 としp 値を用いたステップワイズにて変数選択を行った。

【結果】術後在院日数、術前待機期間、年齢に有意差はなかった。χ2 検定は認知症の有無、起き上がり、立位、起立、トランスファー、歩行器歩行可不可に有意差を認めた。ロジスティック回帰分析は骨折部位が頚部、トランスファー可能を抽出した。

【考察】転退院時の杖歩行自立は頚部骨折で術後5 日にトランスファー可であることに影響される可能性が高いと示された。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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