第8回日本支援工学理学療法学会学術大会の「教育講演4:治療用・更生用装具の活用」を埼玉県立大学原和彦大会長より,ご指名を頂きました
川村義肢
株式会社の山中章二です。
少子高齢化や老人医療費等の増加,税収不足による財政状況の中,国による「聖域なき構造改革」により,医療・福祉に対する風向きが変わり,義肢装具給付についても厳しくなってきています。
このような状況の中で,整形外科疾患,脳神経外科疾患や日頃理学療法士の先生の皆様のリハビリテーションに無くてはならない義肢装具ですが,義肢装具作成時に先生方の頭を少し悩ませる,治療用装具の保険制度,更生用装具の福祉制度の違いや活用方法についてお話をさせて頂きます。
義肢装具の公的給付制度は,「医療系である治療用装具」と「福祉系である更生用装具」に大きく分けられ,「医療系である治療用装具」と「福祉系である更生用装具」の支給金額は,治療用装具が421億円(2014年)で更生用装具が257億円(2017年:車椅子等含む)で,ほぼ2:1で「治療用装具」が「更生用装具」の倍であります。
まず初めに,理学療法士の先生方が一番ご存じの「医療系である治療用装具」の対象である健康保険の種類,給付率,返金申請方法等の説明,その中で一律に全ての健康保険が同じではなく,給付率は同じでも保険者によって考えが違い同じ装具でも給付許可,不許可が起こる事もあります。
また,健康保険での給付残を補助する地方独自の判断でよる給付であります,各種医療補助制度。その他高額療養費制度や学校等での事故・怪我等の保障給付する日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度の説明。
次に,手続きが多く給付許可を待たなければ製作できない「福祉系である更生用装具」である,障害者総合支援法での補装具の種類,給付申請・判定方法,一部自己負担金や一部自己負担金を賢く無駄のない申請方法や,勤務中の事故への保障給付であり,一部自己負担金のない労災保険制度での補装具の給付品目・数量や補装具以外の給付品目である福祉用具等についての申請方法等について説明をさせて頂きます。
その他,交通事故や労災保険制度や障害者自立支援法や介護保険の中で,どの制度を利用すべきであるかの補装具給付における制度間の優先順位の説明や補装具以外の「日常生活用具」の給付制度・品目や障害者手帳の障害級についてお話をさせて頂きます。
最後に平成30年より,施行されました「障害者総合支援法」における,補装具の借受け制度についてお話をさせて頂きます。
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