温度水準によるウズラの成長•死亡率•飼料効率の反応は,放物線で示される。しかし,温度適応性を獲得した第5週以後の飼料効率は,22~30°Cの間で温度が高くなるに応じて直線的に高くなった。温度水準による産卵率と生存率の反応は,成長に対する反応にくらべてにぶいが,放物線で示され,飼料効率は,適温から高温域で高く,適温から温度低下につれて低下する。高温域での適度の風は,産卵改善に特効がある。
ウズラは3ルックス程度の低照度で,しかも群飼であっても十二分に成長,産卵することができ,これより明るくても成績は上らない。このような反応は,ニワトリについて報告されている反応に比べるとにぶく,野生ウズラの生活の場が草原あるいはヤブなどの薄明りのもとであったので,その環境に順化したことによっていると考えられる。また,照明時間の不足が照度を高くすることにより補足される,照度と照明時間との相互作用効果は成長,産卵に対して認められていない。
照明時間の成長,性成熟に対する影響は,雌ウズラでは育成後期に認められ,8時間で抑制され,16~24時間は良好であった。雄ウズラでは精巣の発育すなわち性成熟に,前記雌ウズラの成長とほぼ同様な影響が認められる。24時間照明下で育成したウズラの産卵率に対する照明時間は,18~20時間が最適であり,これ以下では産卵率は低下し,またこれ以上でも低く,かつ生存率が低下する。ニワトリでは,産卵率を高める前処置として,育成期照明時間の抑制または漸減と,後処理として産卵期での漸増とが行なわれているが,ウズラに対する育成期照明時間の抑制は,ニワトリとことなり,性成熟を大きく遅延し,これが全産卵数に大きく影響した。
給水制限の影響は,練餌飼育の方が乾餌飼育よりも小さいが,産卵成績が低下するもので,特に高温期には制限にならないように給水する一方,舎内通気により,軟便の乾燥と,産卵改善の対策が必要である。
ウズラは成長•産卵に対する蛋白質の要求量が,ニワトリのそれに対するよりもはるかに大きい。魚粉蛋白質が全蛋白質中40%をしめる飼料では,成長はCPが28%または32%まで,産卵は24~25%まで高くなるにつれて改善された。蛋白質の栄養作用はアミノ酸の栄養作用とはきりはなして論ずることは片手落であるので,今後はアミノ酸レベルの研究も必要である。
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