電波及び光学観測によって実施されている地球外知的生命探査(SETI)について,特に検出限界の見積もり,魔法周波数(波長)について概要を述べる.検出限界を算出すると,地球外知的生命(ETI)が送信・放射する電波並びにレーザ光線は現在の地球人同等の技術レベル間でも,推定される文明間平均距離で検出が可能である.電波観測では中性水素のスピンフリップ遷移による1.420 GHzや,OH基バンドである1.665〜1.667 GHz帯及び両者の間(Water Hole)が主な魔法周波数となっている.一方,レーザ光線の検出を目的とした分光法による光学SETIでは,これまで魔法波長が提唱されておらず,著者が初めてそれを行った.レーザ放射側の都合ではNd3+: Y3Al5O12(YAG)及びその第2次高調波(SHG)の波長,検出側の都合を考慮した場合は,主として恒星の磁場活動の調査に用いられる吸収線(Ca K, Hα, Na D線)と一致するものが魔法波長となりうる.後者はYAGやNd3+: LiYF(YLF)レーザのSHGやSFG(和周波発生)の組み合わせで実現が可能となる.最後にSETIの意義について簡単に持論を述べる.
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