扁桃, パイエル板, 虫垂などの上皮性リンパ組織は, 消化管の上皮直下の集合リンパ小節から成る。そして, その上皮が多くの自由細胞の浸潤を受けていることが, これらの組織の特徴である。扁桃での陰窩上皮における浸潤の意義については未だ定説を見ない。今回ウサギ扁桃の陰窩上皮浸潤についてその微細構造を調べることとした。
電子顕微鏡により陰窩上皮内の浸潤細胞の数と種類, あるいは占有面績を調べたところ次の様であった。即ち陰窩上皮内にはリンパ球 (45.7%), リンパ芽球 (37.5%), 形質細胞 (8.5%), 大食細胞 (3.8%), 顆粒球 (2.7%), そして細網細胞 (1.7%) が見られた。また上皮はその断面総面積の43%を浸潤領域が占め, 浸潤部分の平均断面積は238μm2で, そこに平均4個の浸潤細胞が見られた。
扁桃陰窩上皮での浸潤と細胞分化との関係について論議した。
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