本研究では,美術館と連携し,表現と鑑賞を一体化した題材による中学校美術科の授業の可能性を探った。表現と鑑賞の一体化の事例や美術館と学校の連携の在り方,協働学習について先行事例をもとにそれらの現状と課題を整理し,一つの題材の中で表現と鑑賞を一体化した授業の在り方について研究の方向性を見いだした。その上で,表現と鑑賞が相互に補完し合う題材「AnswerArt」を開発・実践し,検証した。その結果,一体化を生むためには,主題や作品を中心に据え,表現と鑑賞の活動が相互補完的に循環する題材の構造化が必要であることを見いだした。また,こうした題材の発表の場を学校外に位置づけたことにより,生徒が生活や社会の中における表現の意味を考える機会を生み出した。
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