日本精神科救急学会は、1993年に創設された、多職種で構成される学術団体である。自殺予防に関する議論は盛んで、年次学術集会、学会誌の刊行、ガイドラインの発表、教育イベントの開催、政策提言等を行っている。
精神科救急の理念と意義は「危機介入」と「脱施設化」の推進にある。急性期医療の充実を図り、スマートで可能な限り非制限的な危機介入によって、長期在院者の発生抑止を目指している。多くの先進諸外国が主軸とする「地域精神保健ケアサービスの共通理念」は学会理念に通じるとともに、自殺予防活動にも通じている。
自殺予防は医療のみでなく、全人的に評価・対策する必要がある。そのため多職種連携による多面的対応が不可欠で、それは科学的根拠に基づき標準的に実施されることがより確実である。学会はこの考え方に立脚し、他の学術団体等と共役する形で活動を行ってきた。昨今の自殺者数の減少傾向に貢献しているのであれば、意義のあるものと考える。
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