Trametinibは、非常に高活性・高選択的かつ経口投与可能なMEK1、MEK2のアロステリック阻害薬である。Trametinibは2006年にJTよりGSK社に導出され、2013年にfirst-in-classのMEK阻害薬としてFDAの承認を得て上市された(2016年に本邦でも承認、現在はNovartis社が販売)。しかし、trametinibはMEKの阻害活性を追いかけて見出された化合物ではない。筆者らは、p15INK4bという内因性CDKインヒビターの産生を増強し細胞周期をG1期で停止させる化合物を見出すために、細胞系アッセイによるHTSを行い、リード化合物を見出した。合成展開による化合物最適化は、物性改善を行いつつ、がん細胞増殖阻害活性向上を指標にして行い、trametinibを見出した。その後、本化合物の作用機序解明を行い、標的タンパク質がMEKであることを明らかにした。開発晶に医薬品として先例のないDMSO和物を選定した。
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