先島諸島のうち10島において,半自然草地の植生とその周辺部に分布するマメ科植物を調査した。その結果,1).マメ科植物,23属31種(1変種を含む)の分布が認められた。このうち半自然草地に分布した種は,ヒメノアズキ,タンキリマメ,コバノツルアズキ,ビロードヒメクズ,ハマアズキ,ハマナタマメ,タイワンクズ,ハギカズラ,ヤエヤマハギカズラ,ミヤコジマツルマメ,タマツナギ,ハイマキエハギ,カワリバマキエハギ,シバハギ,ホウズキハギ,コメツブウマゴヤシ,メドハギ,ミツバコマツナギ,ツノクサネム,ギンゴウカン(ギンネム),ササハギの21種(1変種を含む)であった。2).先島諸島の半自然草地の植生は,ススキ型,チガヤ型,コウライシバ型,ギンゴウカン型に大別されるが,チガヤ型草地とコウライシバ型草地の中間的種組成を示すものとしてオキナワミチシバ型草地がある。また,人工草地や耕作放棄地からの移行型の種組成を示すものとしてオガサワラスズメノヒエの優占する草地が存在した。3).チガヤ型草地の種組成がもっとも複雑で半自然草地に出現する主要なマメ科の種は,この植生型の草地にほとんど出現する。4).半自然草地のマメ科植物で重要と考えられる種は,分布と優占度からみてギンゴウカン,シバハギ,ハイマキエハギ,カワリバマキエハギ,ホウズキハギの5種をあげることができた。
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