いま森林・林業系高等学校の学科再編が相次いでいるが, その将来のあり方を議論するには, 卒業生の進路動向や現役生徒の意識, 企業の雇用状況などの実態把握が不可欠である。本稿では北海道の森林・林業系学科3校を対象に, 卒業生の進路動向を把握し, アンケート調査で学校生活に対する生徒意識を明らかにした。また専門教育と企業内教育の連携について森林組合で聞き取り調査をした。その結果, 1) 同学科の森林管理の中堅技術者を養成する役割は低下し, 専門学校進学者が増加している, 2) 進路希望先として森林関連の職業を挙げる生徒とそのほかの生徒では, 前者の学習意欲は高く, 後者のそれは低い傾向にある, 3) 専門教育と企業内教育は専門性をめぐりある程度結びついている―ことが明らかになった。進路動向と学習態度をめぐる生徒の多様性は, 同学科の教育目標の設定を難しくしている。同学科はいま, 多様な進路希望に対応しなければならない一方, 職業教育を発展させるという困難な課題に直面している。
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