日本地すべり学会誌
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研究ノート
四国の結晶片岩地すべりにおける地下水の水文地質学
日浦 啓全末峯 章前田 寛之王 功輝古谷 元
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2018 年 55 巻 4 号 p. 153-162

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抄録

 地すべり地の地下水については, その起源を知り, 地すべり地への流入個所や経路を知ることができれば, 地すべり活動にどのように影響するかを推定し, ひいては合理的な地下水排除計画に資することができる。本研究ノートでは, 四国の3つの結晶片岩地すべりで実施した, 水質分析の結果を基にして行った地下水の経路 (水みち) の推定過程について論述する。地下水の水質指標の中ではHCO3-, SO42-の2つのイオンが地すべり活動にとって重要であることを確認した。HCO3-は地すべり移動体全体の風化に関与するが, 一方でSO42-は泥質片岩の風化・粘土化に伴うすべり面の形成に大きく寄与している。水文地質学的な観点から地すべり地内の地下水を見ると地質や断層の存在が地下水の水みちを推定するにあたって大いに影響を与えていることが解った。水質指標の内, 溶存成分のみで水みちを推定することは方法論的には十分条件を満足させるには至っていないが, 一定の方向性が示せた。

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© 2018 公益社団法人 日本地すべり学会
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