近年,側方伸展型腫瘍 (laterally spreading tumor; LST) 型の早期大腸癌に対する内視鏡的切除術施行が増加してきた.多くの早期大腸癌症例は高分化型腺癌と診断されているが,組織学的異型度や免疫染色の染色性は同一病変の中でも均一でないことが多い.今回我々は LST型の早期大腸癌 61症例について,その組織学的・免疫組織学的特徴について検討した.早期癌の中でも高異型度成分を持つものは有意に粘膜下層浸潤を認めた (P=0.0102).また高異型度成分は粘膜下層浸潤癌の浸潤先進部に多く認められた.p53 および Ki-67 の発現は,深達度にかかわらず高異型度成分に高かった.CDX2 と CD10 の発現は深達度が深い症例ほど高く,また高異型度成分には高い傾向があった.以上の結果より,多くの LST型早期大腸癌では組織学的多様性が認められ,高異型度の成分では細胞増殖マーカーの発現が上昇し,腫瘍悪性化,粘膜下層浸潤と関連していると考えられた.
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