複雑化する現代社会において,社会的に自立した消費者を育成するための消費者教育は,国内外を問わず喫緊の課題となっている。わが国では,近年,消費者教育の一環として,金融経済教育および法教育の両分野で,保険教育の重要性がますます高まっており,大学における保険教育のあり方について改めて考察することは大きな意義を有する。
本稿は,大学の学部教育または教養教育における保険教育について,総合科学としての保険学という立場に基づき,伝統的保険学および保険法学の観点から検討している。
筆者らは,大学の保険教育において,今後,リテラシー教育の必要性が社会に広く認識されるにつれ,総合科学としての保険学が,一層の広がりを持って,また,相互の連携を深めながら,その重要性を増していくものと考えている。したがって,こうした保険学の理念を次世代を担う学生に受け継いでいくことも大きな課題の一つであると考えている。
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