ルテインを関与成分とした機能性表示食品開発の可能性を検討するため,生鮮コマツナのルテイン含量および乾燥粉末化に伴う含量変化に関する研究を行った.
生鮮コマツナ6品種(目標サイズ「M」)のルテイン含量は3.7~5.4 mg/100 g FWの範囲で,最大葉先端部のSPAD値に対し正の相関を示した.同一品種の目標サイズ「M」と「L超」を比較すると,「M」のルテイン含量が高かった.これは,生育に伴って,ルテイン含量の低い葉柄部の割合が増すことによって生じている.
ルテイン含量の高いコマツナ乾燥粉末を得るためには,乾燥前にブランチングを実施することが重要であり,高温での乾燥を避けることが望ましい.実験室で調製したコマツナ乾燥粉末(「いなむら」使用,ブランチング実施,乾燥温度40 ℃)のルテイン含量は,製造直後の時点で0.92 mg/g DW(粉末重量当たり 0.86 mg/g)であった.コマツナ乾燥粉末のルテイン含量は,6ヵ月の保存(20 ℃・遮光)により20 %低下した.一方,-30 ℃・遮光条件下で保存した場合,6ヵ月後にも製造直後の値を維持していた.
以上のことから,適切な品種や加工条件を選択すれば,生鮮コマツナの場合は200~400 g/day,コマツナ乾燥粉末の場合は12~24 g/day摂取することで,網膜黄斑部の色素量増加が報告されているルテイン摂取量(10~20 mg/day)を充足できる可能性がある.
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