トランスジェニックマウスの作製をより効率化することを目的に, 超急速凍結法で保存した体外受精由来前核期受精卵を用いてトランスジェニックマウスの作製を試みた。体外受精によって得られた前核期受精卵 (C57BL/6N) を超急速凍結し, 融解後の卵子に遺伝子 (βact-Luc) を顕微注入した。また, 対照区には新鮮な体外受精卵を用いた。注入後, それぞれ70.8% (131/185) , 71.9% (159/221) の卵子が生存し, それらを偽妊娠第1日目のレシピエント雌卵管内に移植した結果, 凍結区で13.6% (17/125) , 対照区で14.1% (21/149) の産子を得た。更にサザンプロット解析により, いずれの区においても2匹に導入遺伝子の組み込みを認め (凍結区, 2/17: 12%; 対照区, 2/21: 10%) , また, 各トランスジェニックマウスの脳組織についてルシフェラーゼ活性を調べた結果, 全てのマウスで遺伝子の発現を確認した。以上の結果より, 超急速凍結法で凍結保存した体外受精由来前核期受精卵よりトランスジェニックマウスの作製が可能であることが示された。
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