離れた場所から遠隔操作ができるインターネット制御型生物育成システム(アイテラリウム)を利用して,植物に必要な養分が何であるかを効果的に学習できる方法として水耕栽培による要素欠除実験を取り上げた。要素欠除実験では,植物に必要な養分は何か,また特定の養分を欠除させることにより,どのような栄養生理的な症状が現れるのかを視覚的に直接観察することができる。本研究では,アイテラリウムを使用した大学でのファストプランツの要素欠除実験の結果を踏まえて,高校において実践授業を行い,植物の長期的な栽培を自宅のパソコンや携帯電話から制御,観察する学習が可能かどうか,また要素欠除実験の効果について検証した。その結果,生徒は要素欠乏症を視覚的に観察することができ,植物に必要な養分とは,水に溶けた無機塩類であることを実感できた。また,アイテラリウムは,土,日曜日や長期にわたる夏期休業期間などにおいて,リアルタイム画像の閲覧や保存のみならず,潅水や温度管理などを自由にコントロールできるので,植物の長期栽培を支援できる機器として極めて有効であり,学習支援の可能性を広げる一手段として,また新たな学習システムとしてその効果が期待できる。
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