放射線による高分子鎖の切断速度と熱による切断速度を対応させる目的で, 熱と放射線の各々を程度を変えて同時に加え, ゴムの応力緩和を測定した.
試料は, 耐熱性に優れたテトラフルオロエチレン-プロピレンゴムを用い, 応力緩和の測定温度は150°C~280°Cの範囲で, 放射線はC
0-60γ線を照射した.
応力緩和曲線は, 物理緩和が重乗していると考えられる短期間以後は Maxwell 型なので, 熱と放射線の複合環境での化学応力緩和速度が求められた.
種々の温度と線量率で測定した緩和速度について, 異なった線量率で測定した値を重ね合わせるために, 温度軸に沿って移動させるとマスターカーブが得られ, 更に実験した線量率の差と, 重ね合わせるために移動した温度の関係を求めた. 得られた関係が, 化学応力緩和速度における熱と放射線の対応関係を示している.
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