新しい注射用Oxacephem系抗生荊6059-Sの眼科的応用のために, 基礎的および臨床的検討を行なった。
教室保存菌株に対する本剤の抗菌作用は, グラム陽性菌および陰性菌に対して広い抗菌スペクトルを示した。特に,
P.aeruginosaに対して6059-SはCephaloridine, CefazoUnとにとなり抗菌力を示した。臨床分離の
P.aeruginosa 10株は, 25~100μg/mlの感受性分布で, 50μg/mlに分布の山がみられた。
S.aureus 20株では1.56~12.5μg/mlに分布し, 6.25μg/mlに分布の山を示した。
本剤50mg/kgを白色成熟家兎に1回静注した際の眼内移行は, 注射後1/2時間に6.07μg/mlの前房内peak値がえられ, 房血比は20.2%であった。1/2時間における眼組織内濃度は外眼部組織で高値を示し, 眼球内部へもかなり良好な移行を認めた。
臨床的には, 角膜潰瘍3例, 化膿性虹彩毛様体炎7例の計10症例に対して, 本剤を1回1.0g 1日2回点滴静注, または1.091回点滴静注に0.591回筋注を追加して用い効果を検討した。
S. epidermidis, GNRおよび嫌気性菌が, それぞれ単独または共存して検出された角膜潰瘍 (3例) では, 1例著効, 1例有効, 残り1例にはやや有効の成績であった。
S.aureus, S.epidermidis, GNRが証明された虹彩毛様体炎 (7例) においては, 著効3例, 有効2例, やや有効1例および無効1例の結果がえられた。副作用として認められるものはなかった。
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