高温多湿条件下に上蔟した家蚕繭の毛羽部分に見られる扁平状異常絹糸の位相差顕徴鏡, 電子顕微鏡による観察, 強伸度, 染料吸着量の測定を行なった。その結果はつぎの通りである。
1) 扁平状異常部分はその他の異常部分と比べると強伸度, 染料吸着量の相違, 位相差顕微鏡, 電子顕微鏡観察から, かなりよく延伸されていると思われる。
2) 扁平状異常部分が生糸に含まれると小節 (neatness defects), 大中節 (Cleanness defects) の要因になり得る。
3) 扁平状異常絹糸の生因6),8,)9),10)などとしては, 高温多湿条件下における吐糸運動の変調, 吐糸後の絹糸の乾燥, 収縮, あるいは左, 右絹糸腺からのフィブイン圧出量のアンバランスなどが考えられる。
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