1978年末からはじめられた経済改革の進展にともなって,中国における森林の所有構造とその経営形態は大幅に変化した。本論文においては,1984年から福建省三明市で現れてきた「林業
株主
会」と呼ばれている新たな経営主体について,その組織の性格,機能などを明らかにし,それを日本における生産森林組合と比較分析し,そのことを通じて,「林業
株主
会」の今後の展開方向について検討した。その結果,「林業
株主
会」は,その設立の背景,組織の性格,機能等の面で,日本における生産森林組合との類似性が高く,生産森林組合の展開について検討することが「林業
株主
会」の今後の展開方向にたいして,重要な参考になることが明らかになった。「林業
株主
会」の今後の展開方向もしくは課題としては,一定の経営規模を確保し,林業
株主
会の収益から公共費とする支出を減少し,多角経営を展開させることなどが挙げられる。
抄録全体を表示