本稿は、企業論分野における会社支配論領域の論文であり、対象は
株式
を公開している巨大企業である。問題として取り上げることは、
株式
を公開している日本の巨大企業は、現在も経営者支配であるのか否か、ということである。次に目的は、日本の
株式
を公開している巨大企業における経営者支配は、既に終焉しているということを論証することにある。はじめに、会社支配論における支配の定義と経営者支配の定義、および、
株式
会社における所有・支配・管理についてのBerle and Means (1932) の主張を確認する。続いて、
株式
会社における支配は、Berle and Means (1932) の主張するように、
株式
の所有と切り離され、所有と支配は結びつかないのかということを1つの事例をとおして理論的反論を試みる。その結果、
株式
所有と支配は結びついてることが明らかになった。また、経験論的反論として実証調査の結果から、日本の
株式を公開している巨大企業の株式
所有構造は、十大株主への集中度が高く、それら十大株主は、ほとんどが機関であり、機関のなかで一番比率が高いものが資産管理信託銀行であって、次に、外国人機関投資家がそれに続くこと、および、所有主体別分析から対象200社のうち134社においてdominantな所有主体がないことが判明した。会社支配論に新たな視点を付け加える結論として、
株式
会社における支配とは、
株式
所有に基づく支配、および、経営者の広範な意思決定に影響を与えるという意味での支配であり、いずれの支配も経営者支配ではないことが明らかとなった。
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