長尺材および大径材は、通し柱、
梁
、桁、造作材、神社・仏閣の建替え用構造材が主な利用方法であるが、住宅構法の変化の影響で利用は減少傾向にある。しかし、日本の森林資源が柱適寸材から中目材中心へと移行するなかで、従来の利用のみならず、大型の公共
建築
物などへの利用も期待されている。本研究は、長尺材および大径材の利用がどのような現状と課題に直面しているのかを明らかにすることを目的とする。大径材を生産している林家(4戸)、栃木県内の原木市場(3か所)、および大径材を扱っている製材工場(3か所)への聞き取りより、以下が明らかとなった。
第一に、製材工場の原木調達、市場対応に明確な棲み分けが見られる。
梁
、桁などの大型構造材を得意とする工場、大径材を含め家1棟分のあらゆる木材を挽く工場などが、共販所より高値で原木を買い取っている。
第二に、長尺材、大径材のみでは需要を喚起しづらく、一般材の流通ルートの確立が大前提である。
第三に、従来は大断面の集成材が主流であった大型公共
建築
物への利用も増えつつある。事例として小学校校舎の桁材(12cm×36cm×6m)60丁(末口径42cmの原木)が挙げられる。
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