近年,適用が増加している柱RC梁S造の倉庫建築物を対象として,積載物を滑動させることにより,躯体の最大層間変位と積載物の最大加速度が減少するSlide効果の検証を定量的に行った.一方,Slide効果には,これらの最大応答を低減する効果のみならず,応答のばらつきを低減させる可能性があることが指摘されている.そこで,本論では柱RC梁S造の倉庫建築物を模擬した解析モデルに対して,建築基準法の規定に基づき作成した模擬地震波100波を入力地震波として,積載率,入力倍率および耐力低減係数をパラメータとする応答結果から,それらの平均値,信頼区間,変動係数などを計算した.これらの解析結果から,柱RC梁S造に対してもS造と同等のSlide効果があることを確認した.特に,積載率が高く,保有水平耐力の大きい倉庫建築物が中程度の地震を受けた時にSlide効果が最も高かった.さらに,これらのSlide効果を付加等価減衰定数に換算して定量的に示した.また,Slide効果には,過半の層で最大応答値のばらつきが減少する効果があるだけではなく,建築基準法が定める大地震時の地震動レベルにおいて各層の最大層間変位を均一化する効果もあることを示した.