ゼラチンゲルの特性におよぼすアルコールの影響をみた結果を要約すると次のようになる.
1) ゼラチンゾルにアルコールを加えると対照 (無添加ゾル) より, 硬くて凝集性の低いゲルを形成するが, とけやすい.さらに砂糖を加えると, いっそうゲル化を促進させる.
2) 等電域 (pH5) においては, アルコールおよびアルコールと砂糖の影響は顕著に現われる.
3) アルコール添加ゾルにタンニン酸を加えるとゾルの明度は低下し, アルコール添加ゾルより凝固しにくく, くずれやすくやわらかいゲルを形成する.
4) アルコール添加ゾルにペクチンを加えるとゾルのゼラチンゲルの特性におよぼす要因について (第3報) 明度はいっそう低下し, アルコール添加ゾルより凝固しやすいが著しくやわらかく, くずれやすいゲルとなる.しかし, 砂糖を加えると凝固しやすく, アルコール添加の場合と同程度のゲルを形成する.
5) ワイン添加ゾルのpHは等電域にあり, アルコール, 糖の相互作用によりゲル化は著しく促進される.この場合ワインの種類により, タンニン量, 糖量, pHに差があるのでゲルの特性にも差が生ずる.
6) ワインとミカン汁を加えたゼラチンゾルは, pHが低く, アルコール沈殿物を含むのでゲル形成は阻害され, ワイン添加によるゲル促進作用はみられない.しかし, 砂糖を加えると, 著しくゲル化は促進される.
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