新しく開発された注射用カルバペネム系抗生物質biapenem (BIPM) の主要呼吸器病原菌に対するMICを測定し, 他剤のそれらと比較した。また, 呼吸器感染症6例に本剤を投与して, その有効性・安全性を評価した。
1) BIPMのmethicillin-sensitive
Staphylococcus aureus (MSSA), methicillin-resistant
S.aureus (MRSA) および
Streptococcus pneumoniaeに対する抗菌活性はimipenem (IPM) と同等で, piperacillin (PIPC) やcefmzidime (CAZ) に勝る結果であった。グラム陰性桿菌群では
Haemophilus influenzaeのMICは若干他剤に劣るがその他は良好で, 緑膿菌に対するMIC
90は16μg/mlであった。
2) 呼吸器感染症6例に対するBIPMの臨床効果は, 著効1, 有効4, やや有効1と満足すべきもので, 副作用は全例にみられなかった。
3) 本剤投与後, 1例で末梢好中球数の軽度減少を認めたが, 一過性で投与終了後速やかに正常化した。
以上の結果, BIPMは呼吸器感染症の治療にIPM/CSやCAZ同様有用であると考えられた。
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