【はじめに】2006年4月に医療制度改定があり、回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)においても早期より自宅復帰に向けてのアプローチが必要となってきた。1日の単位数の増加による患者様への密な治療が可能となったが、発症早期の患者様が入院される事が増加してきた事により、患者様の状態の変化に柔軟な対応が必要となってきている。当院回復期リハ病棟では早期自宅復帰を目標にチームアプローチを行っている。自宅復帰にあたり、「できるADL」、「しているADL」の差を少なくしていく必要があり下肢装具導入もその1つの手段ではないかと考える。今回、装具に対してセラピストがどのような考えのもと、治療の中に取り入れているかを検討するために、当院回復期リハ病棟に入院した患者様に対して作製した下肢装具について調査したため、考察を加え報告する。
【対象】平成18、19年度当院回復期リハ病棟に入院した脳卒中患者様のうち下肢装具作製した48例。(男性33例、女性15例、脳梗塞25例、脳出血22例、くも膜下出血1例)
【方法】理学療法記録から調査(項目:装具の種類と本数、入院日から装具作製までの日数、平均在院日数)
【結果】作製した装具の種類と本数:KAFO2本、AFO2本、SHB10本、OMCF33本、ドリームブレース1本、合計48本。各装具の入院日から装具作製までの平均日数:KAFO16日、AFO98日、SHB55日、OMCF60日、ドリームブレース106日。全装具の入院日から装具作製までの平均日数:60日。平均在院日数:116日。
【考察】当院では平成18、19年度に作製した装具はOMCF、SHBが多かった。理由としては、当院回復期リハ病棟の主たる目的は自宅復帰であるため、退院後に「するADL」を見据えた上での歩行補助具及び装具を選択する必要があるためだと考えられる。着脱面や介助量などの実用性を考えると長下肢装具では病棟ADL場面での活用が困難であるため、短下肢装具装着下での立位動作獲得が病棟歩行練習開始の一つの目安になっている。また、装具作製の時期に関しては、入院初期ではなくある程度日数が経過してから作製されることが多い。理由として、病棟練習や歩行練習がスタッフやご家族様による少ない介助量で、動作が安定して行えるようになってから、活動量の向上やADL実用性の向上を目的に行われている為だと考えられる。
【今後の課題】セラピストが装具に対しての共通の認識を持ち、また、他職種との連携・意見交換により、更にチームアプローチを強化していく必要がある。
【まとめ】当院回復期リハ病棟に入院した患者様に対して作製した下肢装具について調査した。結果としてOMCFやSHBを作製していることが多かった。理由としては患者様の自宅復帰を目標にアプローチし病棟ADL能力向上に着目しているためだと考えられた。
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