本稿では,2024年1月1日に起きた令和6年能登半島地震を受けて,石川県が展開した応援消費に関する取り組みを紹介する。この取り組みでは,消費を通じて被災地を支援しようとする気持ちを喚起し,人々が一丸となって復興を推し進めることができるように,震災直後から継続的に様々な取り組みが進められてきた。この取り組みは,フェーズ1からフェーズ3の段階を経て,県内外の企業や自治体などのステークホルダーとの連携や,関係人口の拡大に寄与している。フェーズ1では,応援消費の象徴となるロゴマークが制定され,その利用と活用を通じて,主に石川県内での協力体制の構築が始まった。フェーズ2では,国の被災地支援策である「北陸応援割」の開始とともに,東京のアンテナショップ「八重洲いしかわテラス」が開店し,県外でも応援消費が活性化した。フェーズ3では,動画の制作・展開をはじめ,さらなるステークホルダーとの協業が進んだ。その後の令和6年奥能登豪雨による複合災害を経験して,継続的にプロジェクトは拡大した。本事例は,大災害からの復興において公共組織が果たす役割を明らかにするとともに,応援消費の重要性や有効性を提示している。
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