鯨蝋は成分パルミチン酸セチルエステルなので, セタン製造原料として好適と思われたが, 三硫化モリブデンを触媒として高圧水素還元を行う場合長連鎖のため働鎖反応を伴い易く正セタンは好収量に得られなかった。そこで木蝋から純パルミチン酸メチルエステルを製し, セタンの原料として使用し, 最適反応條件などの検討を行つた結果好収量に正セタンを得ることができた。この正セタンはDu pontセタンとその性状を比較するも遜色なくジーセル燃料のセタン価測定用正標準燃料としてわが国で始めて工業化することを得た。また炭素原子数とアニリン点およびセタン価との相互関係を明かにし, パルミチン酸メチルエステルよりセタンが生成される反応機構について検討を行つた。
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