香川県下の茶園土壌を構成する花崗岩を母材とする黄色土,三豊累層に由来する灰色台地土および
洪積層
に由来する赤黄色土についてその土壌理化学性の差異と土壌の種類がチャの生育および収量に及ぼす影響を検討しtc。
1. 非毛管孔隙率は花崗岩土壌が最も高く,I~IV層の平均値は16%,三豊累層および
洪積層
土壌は5%であった。毛管孔隙率は客土した花崗岩土壌が中粒質であったため,花崗岩土壌が最も高く10%,三豊累層および
洪積層
土壌は5%であった。
pH(H
2O)は花崗岩土壌6.0,三豊累層土壌6.4,
洪積層
土壌4.9であった。置換性石灰+苦土飽和度は花崗岩土壌,三豊累層土壌が90%程度,
洪積層
土壌が30~50%であった。
2. 定植3年目の一番茶収量は花崗岩土壌が最も多く次いで
洪積層
土壌であったが,その差はあまり明らかではなかった。三豊累層土壌は前二者に比べて明らかに少なかった。一番茶収量の多少は主として株張りの広狭にもとついたものであった。株張りの広狭に対しては土壌のpHより排水・保水性の良否のほうがやや強く影響した。
3. 二番茶収量は花崗岩土壌が最も多く,
洪積層
士壌が次いで,三豊累層土壌は最も少なかった。二番茶収量の多少は主として二番茶芽の生育の良否にもとついたものであった。
二番茶芽の生育は干ばつ時の土壌の種類による土壌水分消費特性の差異,すなわち花崗岩土壌は干ばつ時でも十分に水分を供給できたが,
洪積層
土壌では干ばつ後期には土壌水分不足になったことに影響された。
4. 以上のことから茶の生産安定には土壌のpHより排水・保水性の向上が重要であり,さらに干ばつに遭遇しやすい夏茶の生産安定には,特に保水性の向上が重要である。
なお,本報をとりまとめるに当って懇切なるご指導を賜った農林水産省茶業試験場茶樹第3研究室長青野英也博士に対し厚くお礼を申し上げる。
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