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クエリ検索: "活動銀河"
571件中 1-20の結果を表示しています
  • 深沢 泰司, 「ひとみ」コラボレーション
    日本物理学会講演概要集
    2017年 72.1 巻 20aK21-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/19
    会議録・要旨集 フリー

    NGC1275は、電波銀河と分類される

    活動銀河
    核であり、以前からFe-K蛍光鉄輝を伴うX線放射が観測されていた。こうした鉄輝線は多くの
    活動銀河
    核から検出されており、その起源は、中心巨大ブラックホールをとりまく分子雲トーラスと考えられている。今回、ひとみ衛星SXSによりNGC1275の鉄輝線を観測することができた。これは、
    活動銀河
    核の鉄輝線を10eV以下のエネルギー分解能で初めて精密分光できた例となり、その結果について報告する。

  • 伊豫本 直子
    日本物理学会誌
    2000年 55 巻 6 号 427-430
    発行日: 2000/06/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    宇宙の初期から現在にかけて,明るい
    活動銀河
    核の数は大幅に減少しており,これは個々の
    活動銀河
    核が暗くなったためと考えられている.我々はこのような
    活動銀河
    核の実例として,電波銀河Fornax Aを調べた.電波銀河のローブは過去の活動性の名残を,中心核のX線は現在の活動性を表すので,両者を比較すると活動性の変化がわかる.さらに,我々はローブからの逆コンプトンX線を使って活動が停止した時期の上限をO.03Gyrと見積もった.
  • 木村 成生
    日本物理学会誌
    2021年 76 巻 12 号 778-783
    発行日: 2021/12/05
    公開日: 2021/12/05
    ジャーナル フリー

    2020年のノーベル物理学賞はブラックホールの存在を理論的に予言したペンローズ氏と,天の川銀河の中心部に太陽の400万倍の質量をもつブラックホールが存在することを観測的に示したゲンツェル氏とゲズ氏に与えられた.また,2019年にEvent Horizon TelescopeチームはM87銀河の中心にあるブラックホールの影の撮像に成功し,天の川銀河以外の銀河の中心部にも超大質量ブラックホールが存在することを示した.銀河内部の星間ガスがこれらの超大質量ブラックホールへと多量に落ち込むと,膨大な重力エネルギーが解放され,ブラックホールへ落ち込むガス流(降着流)は赤外線からX線で明るく輝く.このような天体を

    活動銀河
    核とよぶ.

    ブラックホール近傍では降着流が10億度を超える高温状態となり,粒子同士のクーロン散乱が非効率な無衝突プラズマになる.そこでは粒子分布は熱的なマクスウェル分布から外れ,非熱的な高エネルギー粒子が存在できる.しかし,無衝突プラズマ中でのエネルギー散逸過程はよくわかっておらず,解放された重力エネルギーを熱エネルギーや非熱的粒子のエネルギーへと変換する過程はわかっていない.高エネルギーの陽子はハドロン相互作用を通じて高エネルギーガンマ線やニュートリノを放射するため,高エネルギー粒子信号を用いて無衝突プラズマ中でのエネルギー散逸機構を調べることが可能となる.一方,大規模実験により宇宙から降り注ぐ高エネルギー荷電粒子(宇宙線)や天体起源のニュートリノが検出されているが,その起源と生成過程は未解明であり,宇宙線・宇宙物理学領域の大問題となっている.ブラックホール降着流は天体高エネルギー粒子の新たな起源天体候補であり,そこでの高エネルギー現象を明らかにすることで宇宙線や天体ニュートリノの起源に迫ることができる.

    ブラックホール降着流は磁気流体力学的に不安定であり,乱流が発達することが知られている.乱流のエネルギーはプラズマの運動論的効果によって散逸し,一部が宇宙線の生成に使われると考えられている.生成された宇宙線はより大きいスケールの乱流場と相互作用し,さらに高エネルギーへと加速されていくと予想される.加速された宇宙線陽子は背景物質と相互作用してガンマ線やニュートリノを生成する.我々はこの現象を定式化してブラックホール降着流から逃走するニュートリノとガンマ線の放射強度を計算し,それらがIceCube実験の天体ニュートリノデータを自然に説明できることを示した.また,近傍の

    活動銀河
    核から放射されるガンマ線とニュートリノは将来のガンマ線衛星計画やニュートリノ実験計画で点源として検出できるため,このモデルは手堅く検証可能である.

    上記の研究では宇宙線と乱流場の相互作用を準解析的に取り扱ったが,それには多くの単純化が必要であり,その妥当性を検証する必要がある.粒子加速過程では乱流場の非線形発展と波と粒子の相互作用という非線形な現象が本質的であるため,数値シミュレーションによる研究が必要である.我々は磁気流体計算とテスト粒子計算とを組み合わせるという方法で降着流内部での粒子加速過程を調べ,降着流での粒子加速過程はエネルギー空間の拡散現象として表現できることも示した.

    ブラックホール降着流での高エネルギー現象は,プラズマ物理,天体物理,素粒子物理など,様々な研究分野が絡んだ学際的研究である.今後の計算技術・観測技術・実験技術の向上によってさらなる発展が期待されている.将来の高感度のMeVガンマ線衛星と大規模ニュートリノ実験により,近い将来,天体ニュートリノの起源天体,さらに発見以来50年間にわたって謎である高エネルギー宇宙線の起源天体が明らかになる日が来るかもしれない.

  • 山本 常夏
    素粒子論研究
    1999年 99 巻 2 号 B90-B91
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2017/10/02
    ジャーナル フリー
  • 桑原 匠史, 柴田 一成, 松元 亮治
    素粒子論研究
    1999年 99 巻 2 号 B113-
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2017/10/02
    ジャーナル フリー
  • 井上 芳幸
    日本物理学会誌
    2015年 70 巻 10 号 752-759
    発行日: 2015/10/05
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー
    夜空が暗いというのは我々にとっては当たり前の事実である(都会では街明かりのためにそうはいかないのだが).この当たり前の事実に19世紀の天文学者オルバースは疑問を抱き,「なぜ夜空は暗いのか」と考えた.宇宙が無限に広がっていれば,どこを見ても星の表面が見え,夜空全体は太陽面のように明るく輝くはずである,と.これは有名な「オルバースのパラドックス」と言われるものである.宇宙が無限ではないことから,このパラドックスは解決されている.たしかに,夜空は暗いが,実は真っ暗ではない.微弱ながらも空一面に光っている放射が存在し,「宇宙背景放射」と呼ばれている.この空全体で輝く宇宙背景放射とはなんであろうか?宇宙背景放射の中でもビッグバンの名残である宇宙マイクロ波背景放射は特に有名である.しかし,宇宙はマイクロ波だけでなく,電波,赤外線,可視光,X線そしてガンマ線で満たされている.これらの宇宙背景放射は宇宙に存在する全ての天体からの光の重ね合わせであると考えられている.宇宙背景放射の起源を解明できれば,各波長で宇宙の支配的な種族天体の歴史を紐解ける.例えば,可視・赤外線の宇宙背景放射は,星や銀河の形成史を,X線では
    活動銀河
    核すなわち超巨大ブラックホールの形成史を振り返れる.電磁波の最も高いエネルギー領域であり,宇宙観測のエネルギーフロンティアでもあるガンマ線領域での宇宙背景放射に関する研究は2000年代後半に入るまで,ガンマ線衛星の感度不足のため宇宙ガンマ線背景放射の起源は
    活動銀河
    核であろうと推測されるにとどまっていた.そんな中,2008年にフェルミガンマ線衛星が打ち上げられ,その圧倒的な感度によりこれまでの10倍以上となる3,000を超えるガンマ線源を発見し,宇宙ガンマ線背景放射の詳細な観測が可能となった.フェルミ衛星により0.1-820GeVの広帯域にわたる宇宙ガンマ線背景放射スペクトルが詳細に計測され,宇宙ガンマ線背景放射研究はここ数年で大きく進展している.特にフェルミ衛星の観測結果に基づいた研究によって,宇宙ガンマ線背景放射がブレーザー・電波銀河・星形成銀河という三種族の天体からなることがわかってきた.一方で,フェルミ衛星が観測していないエネルギー帯域であるMeV・TeV帯域における宇宙ガンマ線背景放射の起源は謎に包まれたままである.これらについては,フェルミ衛星だけでなく,次世代X線衛星であるASTRO-Hや次世代ガンマ線望遠鏡Cherenkov Telescope Array(CTA),そして近年TeV-PeVニュートリノイベントを発見したIceCubeとの連携によって今後,解き明かされていくであろう.また,宇宙ガンマ線背景放射には暗黒物質に起因するガンマ線が埋もれている可能性が長年議論されてきたが,暗黒物質の兆候は未だに見えていない.可視光域での暗黒物質分布の大規模サーベイ観測と宇宙ガンマ線背景放射の空間分布を用いることで,暗黒物質の物理量に対し強い制限が今後課されると期待されている.様々な観測を組み合わせていくことで,宇宙ガンマ線背景放射の謎は着実に解き明かされつつあり,その理解までもう一歩のところまで我々は迫っている.
  • 木舟 正
    素粒子論研究
    1994年 89 巻 2 号 B96-B100
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2017/10/02
    ジャーナル フリー
  • 片岡 淳
    日本物理学会誌
    2001年 56 巻 3 号 190-194
    発行日: 2001/03/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    近年,米国の天文衛星CGR0は270を越える天体からのガンマ線放射を検出し,高エネルギー宇宙物理の新しい窓を開いた.このうち66天体がブレーザーと呼ばれる
    活動銀河
    核である.ブレーザーでは磁場を伴うジェット内部で電子が相対論的速度まで加速され,その非熱的放射がビーミング効果で強められて観測される.本稿では近年の多波長同時観測の成果を中心に,相対論的ジェットにおける物理過程について解説する.
  • 平林 久
    日本物理学会誌
    2001年 56 巻 5 号 308-315
    発行日: 2001/05/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    電波天文衛星「はるか」は,世界初のスペースVLBI観測計画の中核として先進的な観測を行っています.このVSOP計画(VLBI Space Observatory Programme)は,最新のテクニックにより新しい地平を切り拓き,現代天文学の大きな謎である
    活動銀河
    核の謎に迫っています.宇宙年齢の1割のころのクェーサー像,近傍の
    活動銀河
    核のジェットの付け根,ジェットを真っ正面に直視した映像,降着円盤の影など,銀河核に潜むと考えられる超巨大ブラックホール周辺でのすさまじい物理現象を見せてくれます.これは将来,ますます面白くなる宇宙の実験室です.
  • 井上 允, 井上 一
    日本物理学会誌
    1997年 52 巻 3 号 161-167
    発行日: 1997/03/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    渦巻銀河NGC4258からの波長1.3cmの水メーザー線を, 超長基線干渉計(VLBI)で観測した結果, その中心核に高速で回転する直径0.5pcの分子円盤が発見された. この回転運動をくわしく解析した結果, 回転の中心に太陽の3,600万倍の質量の重力源が存在し, それはブラックホールである可能性が非常に強いことが示された. 一方, X線天文衛星「あすか」は,
    活動銀河
    MCG-6-30-15のX線スペクトル中に, 大きく非対称に広がった鉄の特性X線を見出した. その輝線プロファイルは, ブラックホールのごく近傍での回転運動による, 相対論的Doppler効果でよく説明され, X線を出す物質が非常に強い重力の中に存在することが強く示唆される. これら電波とX線の観測結果は,
    活動銀河
    中心核の巨大質量ブラックホール存在の仮説に非常に強い観測的証拠をもたらした.
  • 谷口 義明
    日本物理学会誌
    2014年 69 巻 11 号 744-752
    発行日: 2014/11/05
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー
    私たちは銀河系(天の川銀河)という銀河に住んでいる.銀河系には約2,000億個もの星があり,その大きさは10万光年にも及ぶ(1光年は光が1年間に進む距離で,約10兆km).宇宙には銀河系のような銀河が1,000億個程度あると考えられている.銀河には渦巻構造を持つ円盤銀河と回転楕円体構造を持つ楕円銀河(天球面に投影して観測すると見かけ上が楕円に見えるため楕円銀河と呼ばれる)がある.円盤銀河の円盤はもちろん回転運動をしている.楕円銀河の構造は星々のランダム運動(速度分散)でサポートされている場合が多いが,少なからず回転運動もしている.角運動量を持たない銀河はないということである.回転している銀河には中心があり,その場所は銀河中心核と呼ばれる.確かに銀河の写真を見てみると,銀河の中心部は明るい.そこには星の集団があるのだろうと考えられていたが,どうもそうではないケースがあることがわかった.1960年代のことである.銀河の中には,中心部が異様に明るく輝いているものがあり,それらは
    活動銀河
    中心核と呼ばれる.これらの中心核から放射されるエネルギー量は星の集団では説明できない.そのため,超大質量ブラックホールによる重力発電が有力なエネルギー源であると考えられるようになった.つまり,銀河中心核にある超大質量ブラックホールに星やガスが降着し(質量降着と呼ばれる),そのときに解放される重力エネルギーを電磁波に変換して明るく輝いているというアイデアである.では,
    活動銀河
    核を持つ銀河は特別で,普通の銀河の中心核には超大質量ブラックホールはないのだろうか?答えはノーである.最近の10数年の研究によって,ほとんどすべての銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在することが明らかになってきたのである.その結果,驚くべきことがわかった.超大質量ブラックホールの質量は銀河の回転楕円体成分(スフェロイド:円盤銀河の場合はバルジと呼ばれる構造であり,楕円銀河の場合は銀河本体)の質量と非常に良い比例関係を示すことである.両者のサイズは約10桁も異なっているので,なぜこのような驚くべき関係があるのか大きな問題としてクローズアップされたのである.なぜなら,この事実は,ブラックホールが銀河と共に進化してきたことを意味するからだ.ブラックホールの重力圏は銀河のスケールに比べれば極端に小さいので,共進化はブラックホールと銀河とがお互いに何らかのフィードバックを与えつつ進化してきたことを意味する.さらに,最近では,宇宙の年齢がわずか8億歳の頃に,太陽質量の10億倍を超える超大質量ブラックホールが既に形成されていることが発見され,その起源も謎となっている.このような超大質量ブラックホールを短期間で作るには,種となるブラックホールの形成のみならず,どのような物理過程でブラックホールが大質量を獲得していくのかは不明のままである.銀河衝突などのトリガーの要素も取り入れた研究が行われている.本稿では,観測的な進展も合わせて,超大質量ブラックホールと銀河の共進化についての現状を解説し,今後の研究の展望について言及する.
  • 木舟 正, 谷森 達
    日本物理学会誌
    1995年 50 巻 10 号 777-783
    発行日: 1995/10/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    高エネルギーガンマ線(100MeV以上)で明るい天体が100個以上発見され,超高エネルギーガンマ線(100GeV以上)の領域でのガンマ線源の検出も確実になった.この新しく開いた天体観測の窓はこれまで観測されてきた電磁波の中で最も短い波長領域に位置している.中性原子,分子や電離プラズマなどさまざまな状態にある物質が天体での多様な現象を引き起こしている.通常これらの状態は熱的平衡状態で記述されるが,その温度よりはるかに高く素粒子反応が中心的な役割を果たすエネルギー領域での電子や陽子などから(超)高エネルギーガンマ線は放出される.粒子加速機構などの高エネルギー天体現象の研究は従来から宇宙線研究によって行なわれてきたが,その状況にも転機が訪れ新しい展開が期待される.直進するガンマ線は積年の課題である宇宙線の起源を直接的に指し示す.また,高エネルギーガンマ線の観測は
    活動銀河
    によって赤方変位z~2以上に拡大され,宇宙線研究の地平も銀河系外へ拡大した.100個を越える天体からの高エネルギーガンマ線とその観測事実は,高エネルギー粒子の関与する過程が決して稀な天体現象ではないこと,他の波長領域での放射を担う過程と密接に関連していることを示唆している.(超)高エネルギーガンマ線の観測が従来以上に電波,赤外線やX線天文学との接点を膨らませつつ発展するものと予想されるが,その実現に向けての一層の努力が必要である.
  • 手嶋 政廣
    RADIOISOTOPES
    2019年 68 巻 12 号 857-864
    発行日: 2019/12/15
    公開日: 2019/12/15
    ジャーナル オープンアクセス

    CTA(Cherenkov Telescope Array)大口径望遠鏡4基をスペイン,ラパルマに現在建設中である。CTA大口径望遠鏡は23 mの口径を持ち,これら4基のアレイは従来の装置と比較して20 GeV–1 TeVのエネルギー領域で一桁高い感度を持つ。これら,CTA国際宇宙ガンマ線天文台,CTA大口径望遠鏡建設の現状と,またCTAがこれから開こうとしているサイエンスについて述べる。

  • 手嶋 政廣
    日本物理学会誌
    2012年 67 巻 12 号 850-854
    発行日: 2012/12/05
    公開日: 2019/10/18
    ジャーナル フリー
    超高エネルギーガンマ線天文学は,第三世代チェレンコフ望遠鏡群HESS,MAGIC,VERJTASにより,急速な発展を続けている.現在では銀河系内外におよそ150の多様な天体を発見し,イメージングチェレンコフ技術という新しいツールをもとに,宇宙線の起源に迫りつつある.宇宙線発見から100年となるこの節目に,超高エネルギーガンマ線天文学におけるパイオニア的な研究から現在に至るまでの歴史,そして研究の現状,国際共同将来計画として準備が進められている次世代大型チェレンコフ望遠鏡アレイCTA(Cherenkov Telescope Array)について解説する.
  • 平林 久
    日本航空宇宙学会誌
    1999年 47 巻 550 号 234-239
    発行日: 1999/11/05
    公開日: 2019/04/09
    ジャーナル フリー
  • 谷口 義明
    日本物理学会誌
    1993年 48 巻 11 号 861-868
    発行日: 1993/11/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    ここ10年来,天文学では「原始」という言葉が流行している.例えば,身近なところでは原始星や原始太陽系(より一般的には原始惑星系)という言葉がある.この「原始」という言葉には「天体がどのようにして形成されたか?」という根元的な意味あいが深く込められている.今,なぜ「原始」なのか?これは天文学という研究分野の持つ性質に関係している.他の科学の分野でも同じであるが,天文学の場合は特に「対象(天体)が何であるか」を認識することから研究に入ることがほとんどである.人類は我々の地球,地球の衛星である月,地球などの惑星を従える太陽,そして夜空を飾る夥しい数の星たちを認識した.また,太陽などの星たちは約1,000億個集まって銀河と呼ばれる星の大集団として存在していることも知った.このように存在としての天体を物理的に認識すると次のステップは当然「なぜそれらが宇宙に誕生し,進化(或いは退化)し,あるものは消滅していくか?」を解明することになる.1980年代以降,可視光のみならず赤外や電波,X線の観測が進むようになってきて,非常に遠方の銀河やクェーサーの性質が調べられるようになってきた.天文学はようやく銀河やクェーサーの形成と進化を宇宙の歴史の枠組みの中で語れる時代に突入したのである.本稿ではこれらの観測の現状を概観しながら銀河とクェーサーの形成について考える.
  • 小山 勝二
    日本物理学会講演概要集. 秋の分科会
    1996年 1996.1 巻 7p-D-3
    発行日: 1996/09/13
    公開日: 2018/03/23
    会議録・要旨集 フリー
  • 大橋 隆哉, 高橋 忠幸, 満田 和久
    日本物理学会誌
    2017年 72 巻 7 号 503-508
    発行日: 2017/07/05
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル フリー

    銀河団は数100もの銀河からなる,ダークマターの重力に支配された巨大な系であり,宇宙初期のさまざまな条件がその中に仕込まれているため,銀河団の進化の過程を知ることは,宇宙全体の構造進化,化学進化,熱的進化を正しく理解する上で欠くことができない.X線撮像観測により,銀河団の進化の過程は決して静かなものではなく,特にペルセウス座銀河団中心部では巨大楕円銀河NGC 1275がジェットとして大量のエネルギーを銀河団に放出しているらしい様子も見えてきた.しかし,ガスがどれほどの速度の乱流状態にあるのか,その一部が集団運動している場合,速度構造はどうなのかなどの情報はほとんど得られてこなかった.電波や可視光で行われてきたように,ガスの運動を知るためには分光観測が必要であるが,X線領域では分光そのものの技術的な難しさが問題であった.

    X線の新たな分光手段としてマイクロカロリメータが開発されてきた.この検出器は約5 eV(FWHM)という高いエネルギー分解能を実現し,これまで使われてきたCCDの30倍ほどに性能を上げる.その検出原理は,X線が入射することによる素子のわずかな温度上昇を抵抗変化として読み出すことにある.エネルギー分解能は素子内のフォノン数のゆらぎで決まるが,極低温ではフォノンのエネルギーが1 meV程度にすぎないことが高い分解能につながる.一方,マイクロカロリメータを動作させるには50 mKという極低温が要求され,そのための冷却システムを衛星に搭載することには並大抵でない難しさがある.

    「ひとみ」衛星は,X線分光によりガスの運動を測定するとともに,硬X線から軟ガンマ線を高感度で観測することで,熱化の過程と非熱的な粒子へ行くエネルギーとを統一的に解明することを目指し,8年もの歳月をかけ国際協力によって開発された.2016年2月17日のH-IIAロケットによる打ち上げ後,観測装置の立ち上げがほぼ完了した3月26日に通信異常となり,最終的に機能回復を断念するに至ってしまった.しかしペルセウス座銀河団は最も長時間観測され,我々が「ひとみ」に期待していたような驚くべきデータをもたらしてくれた.銀河団を満たす約4,000万度の高温プラズマから鉄のK輝線スペクトルをとらえ,それを共鳴線,禁制線などの異なる量子状態間の遷移に分解し,各輝線の幅も10 eVもの高い精度で分解することに成功した.

    ペルセウス座銀河団に対して,中心の電波銀河NGC 1275の近くを除き,中心から15万光年の範囲の高温ガスについて,輝線の形をガウス関数で合わせた.検出器のエネルギー分解能(FWHMで4.9 eV),鉄イオンの熱運動の視線速度(同じく約4 eV)を差し引いた結果,ガスの乱流速度の視線成分は164±10 km s-1(誤差は90%信頼範囲で1.65σに相当)という値が得られた.乱流による圧力は,ガスの熱力学的な圧力の約4%にすぎないことになる.また中心の電波銀河NGC 1275の近傍でも,乱流の視線速度は187±13 km s-1とあまり大きな値を示さないことがわかった.

    このように,ペルセウス座銀河団の中心領域ではガスの乱流が極めて低いレベルに留まっていることがわかり,電波銀河のジェットがどのように高温ガスの加熱へエネルギーを伝えるのかについて新たな問題を提起した.

  • 川口 俊宏, 志村 俊也, 嶺重 慎
    素粒子論研究
    2001年 103 巻 4 号 D101-
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2017/10/02
    ジャーナル フリー
  • 小山 勝二
    日本物理学会誌
    1991年 46 巻 10 号 881-882
    発行日: 1991/10/05
    公開日: 2020/03/18
    ジャーナル フリー
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