STEM教育は,過去10~20年,国際的に注目を集めている。オーストラリアにおいても,STEM教育が推進され,独自のSTEM教育を行っている。しかしながら,わが国において,オーストラリアのSTEM教育に関する研究は極めて少ない。特に,オーストラリアの中等教育科学におけるSTEM教育の活動内容に着目した先行研究は見られない。そこで,本研究では,オーストラリアの中等教育科学におけるSTEM教育の教材「水のゲーム」と「フィルム・キャニスター・ロケット」について分析し,その活動に見られる特徴について検討した。その結果,それらの教材の特徴として,次の5つの活動の特徴が見られた。(1)授業の序盤に,活動全体の中心となる問題を取り扱う。(2)グループで議論し,調査方法や解決策,改善策に関するアイデアを出す。(3)実施した解決策や調査方法について,基準を用いて評価し,改善策を考え,改善する。(4)解決策や調査結果を外化し,他者に向けて伝達する。(5)授業の終盤に,活動全体を振り返り,自己評価を行う。本研究で明らかにしたこれら5つの活動の特徴は,わが国でSTEM教育を導入する際の示唆となる。
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