アラスカ最北端の北極圏バーロー地域から,内陸部を通りアラスカ湾に突き出た
海洋性気候
のキーナイ半島に渡る広大な地域の,様々な湖沼水中の溶存有機炭素(DOC)濃度を,初めて測定した.
観測した湖沼を化学的側面から4種類に分類した.1.)汽水湖:性質上,海岸近くに分布する.DOC濃度は1.7-5.9mgC・l
-1と中程度以下で測定可能な塩分を有する.2)着色湖:北極圏及び内陸部で優占する.DOC濃度は7-46mgC・l
-1と高い.Chl.a濃度に比べTN,TP濃度はしばしば著しく高く,溶存態及び懸濁態有機物を含む生物学的に利用できないN,PがTN,TPプールに車越している.特筆すべきは,世界の着色地塘水が酸性であるのに対し,極地の地塘水を含むアラスカの着色水のpHがほぼ中性を示す事である.3)透明な湖:主として,内陸部以南に分布する.DOC濃度は1.4-19.5mgC・l
-1であった.4)氷河湖:氷河の分布と切り放す事はできず,主として,
海洋性気候
地帯及び海洋性から大陸性気候への移行地帯に分布する.懸濁している多量の氷蝕シルトにより,特徴的な灰色を呈す.DOC濃度は1.1-1.5mgC・l
-1で,他のどの種の湖沼よりも低かった.
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