陸水学雑誌
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夏期におけるアラスカ湖沼水中の溶存有機炭素(DOC)及びその他の化学成分
佐藤 泰哲アレクサンダー ヴェラ高橋 永治
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1992 年 53 巻 3 号 p. 207-216

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抄録
アラスカ最北端の北極圏バーロー地域から,内陸部を通りアラスカ湾に突き出た海洋性気候のキーナイ半島に渡る広大な地域の,様々な湖沼水中の溶存有機炭素(DOC)濃度を,初めて測定した.
観測した湖沼を化学的側面から4種類に分類した.1.)汽水湖:性質上,海岸近くに分布する.DOC濃度は1.7-5.9mgC・l-1と中程度以下で測定可能な塩分を有する.2)着色湖:北極圏及び内陸部で優占する.DOC濃度は7-46mgC・l-1と高い.Chl.a濃度に比べTN,TP濃度はしばしば著しく高く,溶存態及び懸濁態有機物を含む生物学的に利用できないN,PがTN,TPプールに車越している.特筆すべきは,世界の着色地塘水が酸性であるのに対し,極地の地塘水を含むアラスカの着色水のpHがほぼ中性を示す事である.3)透明な湖:主として,内陸部以南に分布する.DOC濃度は1.4-19.5mgC・l-1であった.4)氷河湖:氷河の分布と切り放す事はできず,主として,海洋性気候地帯及び海洋性から大陸性気候への移行地帯に分布する.懸濁している多量の氷蝕シルトにより,特徴的な灰色を呈す.DOC濃度は1.1-1.5mgC・l-1で,他のどの種の湖沼よりも低かった.
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© 日本陸水学会
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