海洋深層水からのリチウム回収を目的としてパラオおよびフィジー海域における海水中のLi
+分布の調査およびLi
+回収において妨害となる海水中の主要イオン分布の調査を行った.両海域の各地点においてLi
+濃度は約0.15-0.16mg/Lの一定濃度で鉛直方向に分布していた.海水中の主要共存イオンであるNa
+, K
+, Mg
2+, Ca
2+, Cl
-, Br
-, SO
42-についても同様に鉛直方向に一定であった.これらの海域の海水は実証試験に用いた伊万里湾表層水の化学組成とほぼ等しかった.実証試験に用いたλ-MnO
2吸着剤は, 低温である海洋深層水から表層海水よりも効率的なLi
+吸着を示した.これらのことより, パラオおよびフィジー海域中には, Li
+及び共存主要イオンはほぼ一様の分布をしており, 低温のパラオおよびフィジーの海洋深層水から, λ-MnO
2吸着剤を用いて効率的なリチウム回収が期待できる.
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