本研究は,幼稚園における稲作の意義を保育者の記録から検討する。本研究では,3年間,2箇所の幼稚園において91名の年長児の4,451件の記録から検討した。その結果,稲作に関する記録を90件抽出した。そして抽出した記録をKJ法で分析した結果,「田んぼでの体験」,「成長や変化への気付き」,「農具の扱い方の気付き」,「ワラの特徴への気付き」,「自作のお米の味わい」といったカテゴリーに分類された。個々のカテゴリーと記録から,以下の3点の意義が見出された。1)稲作をする過程で感情を伴った体験ができること,2)稲作を通して多様な気付きができること,3)稲作が幼児の生活と結び付くこと。さらに,稲作の実践上の課題についても明らかにした。
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