日本学研究に携わる日本語学習者は、研究分野によって
漢文訓読
の知識が求められる。そこで専門教育課程に進学する準備でもある文語文および
漢文訓読
教育の入門段階の重要性が指摘されている。本稿では
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の入門教育における題材の一つとして四字熟語の活用を提案し、それに向けての分析および考察を行う。まずは、学研辞典編集部(2014)『四字熟語辞典 改訂第2版』の悉皆調査により、訓読文が掲載されている四字熟語を1377語抽出した結果を紹介する。次に、これまで主に国語の視点から行われてきた四字熟語の分類を専門的な日本語教育の視点から実施し、加点パターンによる分類を試みる。そこで、辞典によって訓読文における活用形などの異同があることを指摘する。また、『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を用い、1377語の使用例を収集し、一つ以上の使用例が確認できた108語のうち上位15語を紹介する。最後に、漢字の難易度の測定を含めた分析結果に基づき、学習者のニーズおよび到達目標に応じて、活用することを提案する。現代語に定着した四字熟語は実用的であり、また一句が短いため、学習者への負担が抑えられる。四字熟語を
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または古典文法の導入における用例・練習問題として活用することによって、先行研究に指摘された例文不足という問題の解決に貢献できると考えられる。
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