60歳女性の左手背部に生じた瘢痕癌につき報告した。47年前の空襲時に油性
焼夷弾
にて手背部に熱傷を受傷, その肥厚性瘢痕部に乳頭状, 花菜状の腫瘤が形成され次第に難治性, 易出血性となり, 悪臭を放つ様になった。臨床経過および病理組織所見より, 熱傷瘢痕を母地として発生した有棘細胞癌と診断した。腫瘍の広範囲切除後の欠損部は逆行性前腕皮弁を用いて修復した。さらに去27年間 (1963. 1. 1-1990. 12. 31) に, 大阪大学皮膚科教室において経験した有棘細胞癌99例中7例 (7.07%) の熱傷瘢痕癌について検討した。
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