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クエリ検索: "熊谷育美"
2件中 1-2の結果を表示しています
  • ―重心動揺と日常生活活動との関連性―
    *桜井 徹也, 高橋 賢, 石井 亮, 木賀 洋, 熊谷 育美
    理学療法学Supplement
    2005年 2004 巻 1008
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/27
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    変形性膝関節症(以下膝OA)では変形だけでなく,関節の不安定性や重心動揺の異常も問題になると考えられる.これに関して,福井らは膝OA患者の姿勢にみられる胸椎後彎,膝内反のアライメントにより身体重心の後方化が生じるため,姿勢保持のため重心を前方に移動させる力が働くと述べている.また,Inmanは膝関節の生理的外反減少は重心の側方移動を大きくすると述べている.このようなアライメントに対する反応も含め,膝OA患者においては健常者と比べ前後左右方向への重心動揺が大きくなると考え,静止立位時の重心動揺を測定し,重心動揺と日常生活との関連性についての考察を得たので報告する.
    【対象】
    当院にてTKA適応とされた両側性膝OA群(女性10名,年齢:74.3±7.9歳,身長148.9±4.8cm,体重56.4±8.3kg,BMI25.5±3.7)と両下肢に整形外科疾患の既往のないn群(女性8名,年齢70.5±5.5歳,身長152.1±9.0cm,体重51.6±6.0kg,BMI22.4±3.3)を対象とした.なお両群において中枢神経疾患の既往はなかった.
    【方法】
    重心動揺計(GRAVICORDER G-620,アニマ社製)による重心動揺の解析を実施した.開眼・閉眼両脚立位保持における重心動揺を各3回測定し,分析項目にはX方向軌跡長,Y方向軌跡長を採用した.統計処理にはunpaired‐t検定により比較した(p<0.05).
    【結果】
    X方向軌跡長は閉眼時では膝OA群43.41cm,n群31.22cmで有意差が認められた.開眼時では膝OA群22.84cm,n群22.23cmで有意差は認められなかった.Y方向軌跡長は閉眼時では膝OA群42.07cm,n群31.00cmで有意差が認められた.開眼時では膝OA群26.15cm,n群22.82cmで有意差は認められなかった.
    【考察】
    Loadらは,視覚系への依存度は65~69歳を境に急速に低下,末梢感覚への依存度は加齢に伴い増加を示したことから,高齢者の静的バランスには末梢感覚系が最も重要であると述べている.本研究においても両群の閉眼時のX・Y方向軌跡長にのみ有意差が認められたことから,末梢感覚系の影響が推測された.膝OA患者のバランス反応において,変形による膝関節不安定性やアライメント変化が末梢感覚系の機能低下をさせ,代償的に視覚系への依存度が大きくなり,さらに膝関節周囲筋の筋機能不全も伴うことで,閉眼時における重心動揺が大きくなったと考えられた.よって末梢感覚系の改善を図ることで,つまづきや転倒,膝不安定性による歩行時の側方動揺や痛みなど日常生活活動への悪影響を抑制できる可能性があると思われた.今後は末梢感覚系に対するアプローチに注目し,重心動揺と日常生活活動への効果についての関連性を検討していきたい.
  • *国武 ひかり, 下野 俊哉, 齋藤 裕一
    理学療法学Supplement
    2005年 2004 巻 1007
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/27
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】生活の中で腰痛は多く経験する症状であり,医学的管理を脱しても姿勢や作業条件によるストレスで再発を繰り返し易く自己管理が必要となる.日常椅子座位での作業に多くの時間を費やし,この姿勢での持続作業は特に腰部へのストレスを増大させる.Brian R Mulliganは椅子作業時の腰椎の生理的前彎を促す座面シート(以下マリガンシート)の有用性を報告している.今回このシートを用いた時の腰椎への影響について彎曲度と筋活動の両面から検討した.

    【対象】健常男性15名(年齢25.7±3.0歳)とし,研究に対し事前に書面による同意を得た.

    【方法】股関節,膝関節屈曲90度の椅子座位をとり,肩関節屈曲30度の楽な姿勢でのパソコン作業を5分間行う.十分な休息後,マリガンシートに座り再度同様の作業を5分間行いマリガンシートの影響について検討した.表面筋電図はNoraxon社製Myosystem1200とMyovideoを同期させ、電極部位は腰部脊柱起立筋(以下ES)でL3棘突起2横指外側,腰部多裂筋(以下MF)でS1棘突起外側とし作業時の筋活動を導出し比較した.また同時に矢状面における脊椎アライメントの計測のためにマーカーを設置した.骨盤傾斜角度は床への垂線と上前腸骨棘,下後腸骨棘を結ぶ線のなす角とし,腰椎前彎角度は棘突起とJacoby線との交点から上方へ7.5cm,下方へ2.5cmのマーカー間のなす角として計測し彎曲度を比較した.この時背側になす角をプラスとし前彎度を示した.統計学的処理にはt検定を用い5%未満を有意とした.

    【結果】ESの筋活動は作業開始時と5分後ともに,椅子座位に比べマリガンシート座位で有意に減少した(p<0.05).同様にMFの筋活動も作業開始時と5分後ともに,椅子座位に比べマリガンシート座位で有意な減少を示した(p<0.05).骨盤傾斜角度は椅子座位に比べマリガンシート座位時には,座位作業開始時に3.6±7.3°,5分経過時に3.2±7.0°と骨盤前傾角度の増加,腰椎前彎角度は座位作業開始時に1.4±8.8°,5分経過時に0.9±7.3°と前彎のわずかな増加を認めたが統計学的有意差はなかった.

    【考察】今回の結果より,椅子座位作業時にマリガンシートを使用することにより,通常の座位作業時と比較して,作業開始直後から5分後も継続してES,MFの筋活動の有意な低下を示し,マリガンシートの使用によって腰部背筋へのストレスは軽減できると考えられた.一方,マリガンシート座位による腰椎前彎角は作業開始直後と5分後ともにわずかではあるが前彎を示し,作業中の腰椎を中間位から前彎位に維持できる傾向を認めた.今後,様々な作業場面による影響や腰痛症状の改善および予防に有効であるか検討することが必要と思われた.
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