東京都監察医務院は、東京都福祉保健局に属する事業所であり、死体解剖保存法第8条に基づき、23区内において発生した全ての
本稿では、監察医制度のない地域での検視・検案の問題、自殺統計の問題が課題とされているが、公的な監察医務機関としての取組について紹介したい。
我が国の自殺死亡率(2015年)は19.7人で、32.7人のリトアニア(2015年)や28.3人の韓国(2015年)などに続き183か国の中でワースト18位となった。自殺予防対策において様々な関係機関が発表する自殺白書などの数字は、非常に大きな意味を成しており、関係各機関は数値目標を立てて対策に取り組んでいる。しかし自殺死亡率は、人口も違えば統計の信頼性や更新頻度が国によって異なるため、単純な比較が難しいとされる。
このように視点や要件などが変われば様々な数字が出てくることもあり、一体どの数字を評価対象とすればよいのか、そもそも数字がどこまで現状を反映しているのか、結局自殺死亡率は本当に減少しているのか。
統計に影響を及ぼす様々な背景を現場の検案医師の視点から問題提起をする。
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