外来通院中のクローン病の3症例 (男性27歳, 31歳, 38歳) を対象に, n-3系脂肪酸錠を1日10錠 (n-3系脂肪酸1.1g) を4~25週間投与し, n-3系脂肪酸によるクローン病の炎症改善維持効果を検討した。
炎症の指標であるCRPは, 投与前3症例各々5.4, 5.2, 0.8mg/dlに対して, 投与4~25週間後, 各々3.1, 3.3, 0.5mg/dlへと減少し, 炎症の改善が認められた。他の生化学値の赤血球数, 血清ヘモグロビン, 血清鉄, 血清総たんぱく質量やアルブミン値にはほとんと変化が認められなかった。血清中のn-3系脂肪酸は, 3症例各々投与前9.2, 15.6, 22.1mg/dlから投与4~25週間後, 各々18.1, 17.5, 29.6mg/dlへ増加したが, n-6系脂肪酸は同程度であった。従って, n-3系とn-6系の比 (n-3/n-6比) は投与後1.2~2倍となり, 血清中のn-3系脂肪酸量とn-3/n-6比の改善が認められた。これらの結果から, n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取が炎症性腸疾患の炎症改善と緩解維持に有効であることが示唆された。
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