尿素とアミド硫酸アンモニウム(AAS)との常圧下での溶融反応によるグアニジユウムイオン(GH
+)の生成機構について検討した。
GH
+への生成は,硫酸イオンとともに200℃付近で始まり,尿素のGH
+への転化率は,尿素とアミド硫酸アンモニウム(モル比1:4)とを230℃で60分間反応させた場合,87%に達した。反応漉合物の赤外吸収スペクトルならびに反応中のアンモニア発生量の測定結果は,従来この反応の中間体と考えられていたウレイド硫酸アンモニウムの存在を示さず,GH
+生成前の主反応は,イミドピス(硫酸)ニアンモニウム(DIS)を生成するAASの脱アンモニア反応であった。
一方,AASと水または硫酸水素アンモニウムとの反応性を検討した結果,加水分解については,170℃の商温でも反応が遅く,それより相当低温でも加水分解を受けやすいDISとは対照的であった。また,AASと硫酸水素アンモニウムとの混合物(ともに,DISの加水分解生成物である)は,119℃で溶磁後,ただちに急激な発熱反応を起こしてDISと硫酸アンモニウムを生成することが認められた。以上の結果に基づいて,尿素とアミド硫酸アンモニウムからグアニジニウムイオンを生成する反応径路をつぎのように提案した。
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