二十世紀ナシに含まれる
石細胞
の形状,性状ならびに和ナシ,洋ナシ各品種別の分離状況の相違,分離速度とピューレーの成分,性状ならびに
石細胞
の形状,性状との関係について検討を行ない次の結果を得た.
(1)
石細胞
の形状,性状について,平均して1個当りの重さ0.066mg,大きさ0.44mm×0.38mm 0.167mm
2のものがナシ1個中に約94,00O個,その占める量は0.55%含まれている.吸水率は16.3%0,膨潤度1.10
(2)
石細胞
の形状,性状の変化は収穫時期と密接な関係を有することを推定した.
(3) 和ナシ,洋ナシ各品種別の分離速度について,洋ナシは和ナシに比してきわめて分離速度がおそい品種特性を有する.また和ナシ品種間では二十世紀,八雲,新世紀はいずれも分離がはやく,逆に新興,長十郎はおそい品種的傾向が認められた.
(4) 品種別
石細胞
の形状,性状に明らかな差異が認められ,二十世紀,八雲,新世紀は小さい
石細胞
の占める割合は高く,膨潤性は低く,沈降速度はおそい傾向を示すのに対し,長十郎,新興はその逆の傾向を示すことを明らかにした.
(5)
石細胞の分離速度に石細胞
自体の形状,性状が関係する以上にピューレーの成分,性状が大きく関係することを推定した.
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