当共同プロジェクト研究は,これまで全国各地で実施されてきた個別の経営診断や地域診断事例を振り返り,その横断的な比較検証や,それらの経済活動に影響を与える諸要因の検討を重ねてきた。調査結果からは,地域活性化にかかる商工会活動の多様性とその背景のそれぞれの地域の置かれた社会的・経済的状況の異質性がうかがわれる。具体的には,まず過去5年に中心市街地活性化や観光地域活性化などの調査診断を実施したケースは少ないものの,その他の地域調査診断では,消費購買・会員経営動向などの調査診断を小規模事業者支援事業として実施したケースは多くみられ,自ら「役に立った」と評価するものが一定以上確認された。一方,地域活性化方策では,地域おこし協力隊の採用,祭り・伝統行事の保全・活用,産業集団・工場団地の形成およびスポーツ大会・国際会議等誘致などは有効で,とくに地域おこし協力隊をコアとする諸活動が地域活性化成果の維持,向上に寄与していることが推論され,これらの結果はそれを裏づけるいくつかの事例で検証された。
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