日本人は、欧米のジャポニスムが生みだした未知の日本のイメージと、どのように対峙すればよいのか。この問いに取り組んだのが芥川龍之介だった。
本稿は、芥川の草稿に注目することで、ヨーロッパとアジアとアメリカを結ぶジャポニスムの言説を浮上させる。その言説においては、複数の日本イメージが入り乱れ、多様な争点が形成されていた。この議論に芥川がどのように介入したのかを、理念としての〈新しさ〉という観点から考察する。
絣は8世紀頃にインドで発祥した後、インド人の植民やヒンドゥー教・仏教に付随して東南アジア方面に伝播した伝統工芸の織物である。15世紀頃にジャワから琉球に絣が伝播した後、日本三大絣産地(久留米、備後、伊予)においても江戸時代後期から流行が起こった。また、ヨーロッパや中南米にも絣は伝播した。しかしながら、絣は世界的に衰退の危機に瀕している。本発表は、世界的な伝統工芸である『絣』の紋様に関する総合情報をオンラインでデジタルアーカイブとして公開する取り組みに向けた報告である。デジタルアーカイブ構築の手法として、生物学の手法に基づき、世界各地の生地見本帖から主要な絣のパターンを収集し、紋様の最小単位(モチーフ)を抽出し、データベース化する。また、研究者、教育現場(小学校から大学)、地場の伝統工芸に興味を持つ一般の方々、各織元の職人、布を扱うアパレルメーカーまで幅広いユーザーの利用を想定している。
「文化×工学研究会」は東京大学EMP 修了生有志に東京大学生産技術研究所が協力する形で、東京大学全学の教職員およびEMP 修了生にオープンな研究会として2019 年7 月にはじまった。2021 年8 月末時点で20 回の開催を数えている。多様な専門を持つ研究者に加えて、実務家が参加することで「文理実」の連携を推進する場ともなっている。本稿では2019 年度、2020 年度実施分について、各回の概要を紹介する。あわせて、これまでの成果や課題、今後の展望についても紹介する。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら