2022 年 6 巻 s2 号 p. s115-s118
絣は8世紀頃にインドで発祥した後、インド人の植民やヒンドゥー教・仏教に付随して東南アジア方面に伝播した伝統工芸の織物である。15世紀頃にジャワから琉球に絣が伝播した後、日本三大絣産地(久留米、備後、伊予)においても江戸時代後期から流行が起こった。また、ヨーロッパや中南米にも絣は伝播した。しかしながら、絣は世界的に衰退の危機に瀕している。本発表は、世界的な伝統工芸である『絣』の紋様に関する総合情報をオンラインでデジタルアーカイブとして公開する取り組みに向けた報告である。デジタルアーカイブ構築の手法として、生物学の手法に基づき、世界各地の生地見本帖から主要な絣のパターンを収集し、紋様の最小単位(モチーフ)を抽出し、データベース化する。また、研究者、教育現場(小学校から大学)、地場の伝統工芸に興味を持つ一般の方々、各織元の職人、布を扱うアパレルメーカーまで幅広いユーザーの利用を想定している。