【はじめに、目的】
竹田市は、65歳以上の高齢者の割合が40%と全国有数の高齢化地域であり、低栄養を合併している方が多く存在する。当院では栄養サポートチーム(以下NST)に理学療法士が参加している。そこで当院NST立ち上げから現状までの活動内容と、理学療法士の役割、チームアプローチを含めた今後の課題を以下に報告する。
【方法】
当院でのNSTの「立ち上げに至るまで」、「立ち上げ時」、「現在の活動」内容を時系列で述べ、かつNSTコア理学療法士の役割について以下に示す。
【結果】
「立ち上げに至るまで」NSTの立ち上げに向け、平成28年8月から4日間の栄養サポートチーム研修実習に当院の管理栄養士、看護師、薬剤師が各1名(計3名)が参加した。研修終了後、加算申請書を九州厚生局に送付し、受理されることで栄養サポートチームに関する施設基準を取得可能となった。
「立ち上げ時」専任・専従以外の職種である、看護師、理学療法士、言語聴覚士、社会福祉士へ参加協力依頼がなされ、そこからマニュアル整備、栄養サポート委員会設立に向けた活動が開始された。平成29年2月よりカンファレンス、病棟ラウンド、委員会が実施された。
「現状の活動」現在、週1回のカンファレンスと病棟ラウンドの実施を行っている。その際、対象者は事前にNSTコア看護師と管理栄養士が、リハスタッフ(言語聴覚士、理学療法士)等の多職種からの情報をもとに、入院時の栄養評価シート、血液検査データの情報等の、カルテ情報を確認しながら選定を行っている。その他、月1回の委員会、年1回の院内研修会が実施されている。
【結論】
近年、加齢等に伴う種々の機能低下や健康障害を生じやすい状態であるフレイルや、加齢等により骨格筋量減少、筋力低下を意味するサルコペニアが問題視されている。当院がある竹田市は高齢者の割合が非常に高く、それに伴い当院入院患者においても低栄養患者や経口摂取困難な方を多く経験する。NSTでの介入は栄養障害の改善やQOLの向上、原疾患の治癒促進、感染症等の合併症予防においても有用である。現在はカンファレンスと病棟ラウンドに医師1名、管理栄養士2名、看護師2名、薬剤師1名、言語聴覚士3名、理学療法士1名(計10)が常時参加している。NSTコア理学療法士としての活動は、NST対象患者の担当セラピストに現状ADLや理学アセスメント、訓練内容等の情報を事前に聞き取り、カンファレンスの場で発信することや、カンファレンス記録用紙の記入を実施している。さらにポジショニングや姿勢、呼吸機能の評価結果を他職種へ情報共有する場としても活用している。
当院NSTの今後の課題として、現在カンファレンス・ラウンドに参加していない職種への啓発、より質の高い病棟看護師への情報共有、重症患者への介入検討、患者家族からの胃瘻、中心静脈栄養といった強制栄養の受け入れが悪いことが挙げられる。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は、ヘルシンキ宣言に基づき、個人情報に配慮して検討を行った。
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